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#67 「○○は効果がある」「結果の出る○○」という話

効果がある?結果が出る?

セミナーのデモ

例えば徒手療法などのセミナーで、介入前の立位体前屈と、介入後の立位体前屈の程度(数値など)が変わるというデモを見ることがあります。直接的にハムストリングスなど制限となりそうな部位に介入せずとも、色々な方法で変わることはよくあります。

この手法自体は別に良いも悪いもないわけで、何らかの要因が介入前と介入後の変化を生じさせたということを示すものであって、多くの場合はそのセミナーで学ぶであろう介入によるものだというストーリーが多いかも知れません。

単純に介入前に1回立位体前屈を行っていますから、それによって生じた何かしらの要因が2回目の変化に影響したのかも知れませんし、介入したことによって、もしくはそれらが合わさって変化したのかも知れません。

まあそれは具体的なケースでしか迫ることは出来ませんし、今回はそういう話ではなく、立位体前屈の成績という結果は、講師が便宜的に設定したものであって、立位体前屈の成績が向上すること自体、何の役に立つのかという部分は関係ないですね。

効果的なアプローチ?

先ほど書いたように「便宜的に設定したもの」なので、批判的な意味ではありません。ただ、例え立位体前屈の成績が大きく向上したからと言って、「効果的なアプローチ」「凄い手技」かと言えば、そうとは言えないと思います。

立位体前屈はあくまで例えの話なので、他のケースに置き換えても共通することがあります。「大きな変化」を「効果」と捉えて、「効果が出る介入」とし、「その介入をすれば効果が出る」と考え、手段の目的化が起こることがあると感じます。

関節可動域にしてもそうですが、参考可動域と比較して制限が大きいケースがあり、その可動域制限に対して有効な介入を学んだから使った、その結果、関節可動域が拡大したとします。関節可動域が拡大したことを、効果が出た、結果を出したと。

学生レベルかと言えばそうでもない

こういう思考には陥らないようにと、学生と話をするような内容かも知れませんが、ある程度の技術レベルが必要なものであったり、より遠位からの介入で変化が出るといったものだと、それらしく感じてしまうということが起こり得るように思います。

膝に問題があるように見えることが、例えば顎関節や足部に介入することで、膝に問題がなくなったように見えるとすれば、何か根本的な介入であったような印象を受けやすいのかなと思います(個人の感想です)。もちろん遠位からの影響を否定しているわけではありません。

○○が大事?

「ハムストリングスを使うことが大事」「殿筋の筋力が大事」「無駄な力を抜くことが大事」…大事というからには、何かしらの目的からの話ですが、「○○が大事」が独り歩きして、いつの間にか「○○を改善すること」「○○を向上させること」が目的になるかも知れません。

そうすると、それが具体的に対象者の何に役に立つのかがわからないですから、極端な話だと不安定性を助長しただけなのに、「関節可動域が拡大したので良かった」ということになりかねないと思います。

あるに越したことはない

筋力にしても、予備力という観点からみれば「あるに越したことはない」ということになりますが、個々の目的、限られた時間などを考慮すれば、「あるに越したことはない」ものを、どれくらいやるのかということが重要になると思います。

この辺りの話を掘り下げると、今回の内容から脱線するのでまたの機会にしますが、目的を明確にしないまま、「筋力が高まったから良い」「柔軟性が向上したから良い」ということになるかも知れません。

代用のアウトカムと真のアウトカム

もちろんそれはそれで良いというケースもあるでしょうけど、代用のアウトカムを真のアウトカムかのように捉えるとすれば、「筋力は高まったけど」「柔軟性は向上したけど」ということになりかねないと思います。

これは最初の話と共通していて、セミナー参加者の「立位体前屈の成績の変化」は、セミナーを進める上で便宜的なものであり、効果のあるアプローチ、結果の出るアプローチかどうかは、セミナーという文脈の中だけでは何も言えないと思います。

その変化が起こるメカニズムを考えるであるとか、引き出しのひとつとして保留しておくだとか、何かしらの参加者の思考や試行錯誤という能動的な振る舞いがあってこそ、セミナーの内容が活きるのではと考えています。

まとめ

セミナーのデモ自体を否定する意図はありませんし、自分自身がその立場になれば何かしらの指標を設定することもあると思います。ただ、その介入自体を「効果のある」「結果の出る」という謳うとすればおかしくなります。

また、「○○は大事」といった文言も文脈によるので、「○○は大事だから△△をする必要がある」というだけでは、商売上のキャッチコピーと変わらないかも知れません。

普遍性と個別性、どちらが欠けても上手くいかないでしょうから、戦略の階層のような視点を持ちながら、引いて観ることも、迫ることも必要だと思います。そのためには、職種など関係なく色々な視点や考え方に触れることは大事だと感じます。

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