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#65 「入院してると良くならない」という話

「入院してるから良くならない」「退院して生活した方が良くなる」というセリフは時折見聞きします。確かにそのようなケースはあると思いますが、「良くなる」とは何を指しているかということもあります。

入院生活によって廃用が助長されることも少なくないでしょうから、例えば慣れた環境で生活し、家族や知人とコミュニケーションをとる、出来ることは自分で行う方が、廃用を予防出来るかも知れません。

しかし一定のベース(対象者と環境によって変わる)があればの話であって、例えば神経学的残存高位がC6の脊髄損傷で、獲得する可能性は高いが、起き上がりや移乗、更衣動作、排尿排便の方法・手技・コントロールがまだであったり、車椅子の選定、自宅改修など退院先の確保など、退院するにしても様々な準備に時間を要するケースも多くあります。

高位の頸髄損傷であれば、呼吸器の問題や、コミュニケーションツールの選定・練習なども必要となります。当然のことながら、神経学的残存高位だけの話ではありませんから、ケースバイケースであると言えます。

もちろん退院してからも、十分サポート出来る体制が整っており、患者さんの心理的な状態も含めて可能であるならば、早期に退院するという選択肢はあると思います。

「入院してるから良くならない」「退院して生活した方が良くなる」というケースは当然あるわけですが、そもそも大事なのは、「何故入院しているのか?」という部分だと思います。その理由によって、取り組みも変わってくるでしょうから、致し方ないかも知れませんし、原因を取り除けるかも知れません。

「入院してるから良くならない」ではなくて、入院生活における具体的な弊害を抽出して、それを取り除く、緩和出来る方法はないのかという視点も必要だと思います。これは、セラピストだけでどうにか出来るわけではないことも多いでしょうから、病棟スタッフやご家族、時に他の患者さんを交えて介入するということが考えられます。

基本的には入院したくてしている患者さんはそう多くはないでしょうし、出来るのであれば早く退院することが理想だと思います。ただ、入院せざるを得ない原因を考えること、もし入院を余儀なくされるとしても、その中で何が出来るのか考えることは必要だと思います。

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