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#63 トレーニング指導者が様々なアプローチを学ぶことについて

個人的な話ですが元々はS&Cコーチになりたいという希望があったので、知識はNSCAのエッセンシャルに書いてあるような分野を中心に、技術は自身のトレーニングの実践(ただするのが好きだっただけです)と、実際のトレーニング指導を中心に磨こうとしていました。

当初はトレーニングは工夫次第で適応が広い、例えば徒手療法などを使わずともトレーニングで代替可能だといった極端な思考があったように思います。そこから少しずつ、(レジスタンス)トレーニングに限らず、様々な体操やボディワーク(操体法やゆる体操も含む)も学ぶようになりました。

トレーニングを中心にした様々な運動によるアプローチによって、アスリートやいわゆる健常者のサポートが出来るようになりたいと考えていました。そこからパーソナルトレーナーの仕事を意識すると、もっと出来ることがあるのではということで、いつも運動に拘る必要はないのではと考えるようになったと思います。

運動においても動きを誘導する時には、手を添えることが有効なこともありますし、パートナーストレッチはセルフではアプローチが困難なところをアシストするという発想だと思うので、その流れで考えれば徒手療法も特別なことではないと言えるかも知れません。

対象者が自分自身で出来ることはする、自分自身で出来るようになるためにサポートする、それが困難なケース(プロセスの途中も含む)は手を添える、アシストする、時に徒手療法といったアプローチになることは、流れとしてあると思います。

もちろん徒手療法を用いるだけの技術や知識があるかどうか、クラブによっては禁止されていたり、事故が起こった際の補償が準備出来ているのかどうか(運動指導における保険ではカバーしていないこともある)といった、別の問題はあります。

必要以上に行う、適応ではないのに行う、スキルが明らかに不足しているのに行う、というのは、徒手療法に限ったことではありません。ただ徒手療法の場合は、(見た目上は)行う側とされる側という関係であり、何か問題が起こった場合は行う側の責任が大きくなるということはあるかも知れません。

トレーニング指導においての事故も、指導者の責任だと言えますが、「触られてから腰が痛くなった」というのと、「デッドリフトをしたら腰が痛くなった」では、対象者の心情は違ってくることもあると思います。

もちろん、どちらも同じように避けたい部分ではありますし、そのリスクを極力減らすために、行うのであれば能力を高める必要があると思います。

話を戻しますが、実際の指導において引き出しが多いに越したことはないですし、そのアプローチを行うことが可能なケースなのであれば、適切に行うことでよりベターな結果に導くことが出来ることもあると思います。

ツールを用いるアプローチにしてもそうですが、ツールありきで応用が利かないというのは置いといて、「あった方が便利」というケースはあるはずです。そして「あれば使う、なければ代替を考える」という考え方もあります。

ツールを使わない拘り、徒手療法を使わない拘りよりも、拘るなら対象者の目的を達成することに拘った方が、視野が広くなるでしょうし可能性も広がるかも知れません。

パーソナルトレーニングを考えても、トレーニング指導が軸になるとして、そのトレーニングがより質の高いものになるためには、条件を整えていくということが必要なこともあると思います。トレーニング指導の工夫で達成出来ることもあれば、徒手療法やツールを使用することでより効率的・効果的なトレーニングの実施に繋がることもあると思います。

徒手療法を学ぶ上で触察技術は必須なので、触らなくてもASIS、PSIS、大転子といった骨指標(ランドマーク)がどこにあるのか、動きの中でも大凡目星をつけることが出来ますから、スクワット中の各関節の動きを捉えやすくなるといったことにも繋がるかも知れません。

そのように考えると、徒手療法をすることが前提ではなくとも、他の場面で活きることはあるはずです。もちろん上記に挙げた例えが出来るようになるために、徒手療法を学ぶことが必須という話ではありません。

あくまで例に過ぎませんが、それぞれが別々ではなく関連付けて考えることが出来るようになれば、「学んだものをそのまま使う」のではなく、自身の立場で適応するような工夫が出来るようになるかも知れないということです。

トレーニング指導の能力の低さを、その他で補うという発想だと、トレーニング指導の専門家とは言えないでしょうけど、トレーニング指導の質を高める上での視点や引き出しを増やすことは、その専門性の強化に繋がるのではと考えています。

※徒手療法や他のアプローチ学ぶべきという話ではありません

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