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#39 「結局は自然治癒力だ?」

「介入しなくても良くなる」という表現は時々見聞きしますし、そういうケースも確かにあると思います。しかしながら、「結局は自然治癒力だ」と片づけることには違和感を覚えますし、そうではないケースもあるはずです。

TKAやTHAといった術後の創部を含む侵襲した組織が治癒(回復)するのは、自然治癒力と言えると思います。しかしながら、マルアライメント、関節可動域制限、筋力低下、感覚障害、疼痛といった機能障害を抱えながらも生活してきた患者さんは、標準的な動作からは逸脱していることが殆どです。

変形性膝関節症であれば、例えばTKAによって膝関節のアライメントは改善しますし、手術による炎症が治まってくれば疼痛も寛解・消失していきます(CRPSなどのケースを除けば)。筋力低下も疼痛による筋出力低下に関しては、疼痛の寛解によって改善していきます。

一方、基本動作に関しては、手術をしたからといって標準的(実用性の高い)動作になるかと言えば、そうではないこともあります。歩行に関して言えば、長期間の跛行によってその歩行を学習しているわけですから、目指せる範囲でより実用性の高い歩行を学習するといった介入が必要になります。

膝関節のアライメントが改善し、疼痛が消失することによって動作は変化するかも知れませんが、長期間にわたって標準的な動作から逸脱していると、もはや膝関節だけの問題ではなくなっているはずです(変形性膝関節症の原因に関する話はここでは置いといて)。

そのように考えると、「結局は自然治癒力だ」という話にはなりません。「学習」という観点で考える必要があると思います。より実用性の高い運動の学習を行うために、何が必要でどのような介入をするかを考える必要があると思います。

また、例えば、脳損傷後の脳の修復は完全に元に戻るわけではなく、構造的、機能的に変化するという可塑的変化が起こるとされています。自然な可塑的変化と活動に伴う可塑的変化があり、後者はいわゆるリハビリによって影響を与えることが出来ると言えます。運動課題を実施した方が運動機能回復を促進したというNudoらの研究が代表的です(これはリスザルを対象としています)。

様々な研究はたくさんありますがここでは省略させていただくとして、「結局は自然治癒力だ」で済ますというのは、何をもってそのように言っているのかわかりませんが、最初に戻りますが違和感があります。

どこまでが介入による結果かが分かり辛いという問題はあるかも知れませんが、様々な研究を活かしながら臨床をするということは当たり前のようにやっていかないとなと、最後は自分自身に言い聞かせてみました。

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