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#25 「専門職≠専門バカ」?

多くの健康や医療の専門職は、自身の専門性を以って多くの人達の役に立てると考えているかも知れません。少なくとも私はそう考えています。「健康」、「QOL」といったワードは、多くの人にとって重要なものであると認識するように思います。「QOL」については一般的には広く浸透しているとは言えないかも知れませんが。

「健康を維持・増進する」、「QOLが向上する」という表現だと、ポジティブな印象を受ける人が多いと思います。「健康を損なう」、「QOLが低下する」という表現からポジティブな印象を受ける人は多くないと思います。

出来る限りポジティブなことを目指す専門職の中には、その専門性が極端に言えばたった今にでも全員に役立つと考える人もいるかも知れません。しかし、正しいとされることでも、それが重要だと感じるタイミングがあるわけで、タイミングが違えば相手には響きません。また、ある価値観が正しいと説得するのも、個々の価値観を無視した押しつけと言えるかも知れません。

音楽やファッション、グルメといったものは、人それぞれの好みや価値観があることを受け入れやすいですが、「健康」、「QOL」といったものは、普遍的な価値観が存在しているかのような幻想を生みやすいように思います。ですから、善意のつもりが、ありがた迷惑になる可能性があります。「全員に役立つものだ」と考えること自体は良いとしても、求められていないのにいちいち首を突っ込むと、鬱陶しく思われたり、反感を買うこともあると思います。

日々真摯に仕事をしたり、自身の専門能力を向上させようと日々努力することで、より出来ることが増える、質が上がっていくと思います。対応出来ることが増えてより良い結果に導ける可能性が高くなるわけですから、専門職として明らかに「適応だ」と判断するケースにおいては、「役に立つことが出来る」と考えることは自然なことと言えると思います。

真摯に取り組んでいるにも関わらず、ありがた迷惑と思われるとしたら複雑だと思いますが、それを「分かっていない」と腹を立てるのも違うように思います。結局相手の話を聴いて、タイミングでなければ勧めても仕方ないかも知れませんし、相手の理解不足や勘違いがあるとすれば、丁寧に分かりやすく説明する必要があるかも知れません。

専門職はその領域の一般人と比較して、細かなこと、小さな違いに気づきフォーカスすることが出来ます。それが能力のひとつとも言えますが、一般の人からすれば気にならない、違いが分からないかも知れません。そういったギャップが存在し得るということを頭の片隅に置いておかなければ、理解を得られることが困難になるケースもあるはずです。

「人の役に立つ専門職である」「人の役に立つ専門職でありたい」という気持ちは持ちながらも、自身の専門性という狭い視野のみで考えて振る舞うことは、専門バカになり得るということも頭に入れておく必要があると感じています。他領域の専門性や様々な考え方などを認める柔軟な姿勢で、活躍の機会を得た時に質の高い仕事が出来るよう、日々怠らず励むことが必要だと考えています。

「正しい知識と技術を広める」という言葉は、何も間違っていないかも知れませんし、確かにそういう取り組みは必要だと思いますが、本当に「正しい」のか、何を持って「正しい」のかということを、提供する側も常に自問自答を繰り返す必要がありますし、直接関わる対象者に対して、より良いものを提供するということを積み重ねることが基本にあると考えています。

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