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#10 出来るように導きたい①~椅子からの立ち上がりを例に~

前回の続きです。

出来る能力を有しているのに出来ないというケースでは、適切な動作に誘導することが必要になります。動作を誘導する為には、その動作の普遍的な特性や動作を可能にするメカニズムを理解する必要があります。何故なら出来ないと出来るの差異がわからないと、誘導のしようがないからです。

椅子からの立ち上がりを例に考えていきます。立ち上がりを大雑把に言えば重心を前方かつ上方へ移動させる動作です。支持基底面が広い坐位から、殿部離床から支持基底面が狭くなります。ですから比較的安定した姿勢から不安定な姿勢へ移行することになります。支持基底面が変化するという点で言えば、立ち上がり(および着座)とスクワットの大きく違う点になります。

よくあるケースでは骨盤が後傾位から前傾せずに、重心を前方に移動させることが難しいというケースです。関節可動域制限などの機能的な問題で前傾させることが困難であれば、代償的な動作が必要になりますが、話を単純化させる為にそういった機能低下はないものとして話を進めます(実際を考えると強引な設定です)。

骨盤が後傾したまま立ち上がろうとすると、何らかの代償が必要になります。代償に良いも悪いもないわけですが、ここでは機能低下などはなく、出来る能力を有しているという設定なので、多様なケースがあるのは当然としながらも単純化させて頂きます。

そもそも骨盤が前傾してこないことが立ち上がり動作を阻害している主な原因となっているのに、立ち上がりのポイントとされる筋だからと「◯◯筋の筋力低下で代償動作がみられる」と考えるとすれば、◯◯筋の筋力増強が図れても、代償なしでは立ち上がれないかも知れません。

「そんなPTおらんやろ」と言われそうですけど、あくまで無理矢理な例なので軽く流して頂ければと思います。ただ、実習生であればこういうケースはあると思います。

骨盤を後傾位から前傾させていく為には、前傾する動きを教えなくてはなりません。言葉掛けで容易に出来ることもあれば、見本を見せる、徒手的に誘導するといったことが必要なこともあると思います。

言葉掛けも色々考えられますが、何という言葉掛けが正解かではなく、対象者に伝わる言葉を選択することが重要です。「背筋を伸ばして下さい」「おへそを前に突き出してきて下さい」「坐骨(結節)で座るようにして下さい」などが、よく聞かれるセリフかなと思いますが、言葉だけで誘導するのはなかなか難しいこともあります。

「背筋を伸ばして下さい」と言われても、対象者が「いや伸びてるでしょ」と感じていれば変わらないでしょうし、骨盤が後傾位のまま脊柱を伸展させようとしてさらに重心が後方へ移動するかも知れません。「おへそを前に突き出して下さい」と言われても、骨盤が後傾位のまま胸腰椎を伸展させようとするかも知れません。「坐骨(結節)で座るようにして下さい」と言われても、「坐骨(結節)って何処?」となるかも知れません。

言葉だけで誘導することは難しいので、視覚や体性感覚などを利用することが多いと思います。ですが、対象者に上手く伝わらない言葉を視覚や体性感覚などを利用することで補うという発想よりも、臨床ではそれらがフルに活用出来ないケースもありますし、どれも出来るだけ適切に利用したいと個人的には考えています。この辺は大事にしたいと思っています。言うは易しです。

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