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#7 「筋力VS身体の使い方」②

前回の続きです。
#6 「筋力VS身体の使い方」①

「筋力ではなく身体の使い方が重要だ」という主張を、「身体の使い方に目を向けることで、現状の筋力を向上させなくても、出来るようになることはたくさんありますよ」という風に解釈すれば納得しやすいかも知れませんね。

ただ、いつでも理想的な身体の使い方が出来るのは、それこそ達人クラスの限られた人間かも知れませんので、調子が良くない時でも極端にパフォーマンスが落ちないように、それを補える他の要素を高めておいた方が良いと思います。

そもそもの話ですが、「身体の使い方」というのは、文字通り身体を使うわけですから、筋力も当然関係します。「筋力が0でも身体の使い方が重要だ」と主張する人は恐らくいないでしょう。いくら身体の使い方が上手くても、小学生並みの筋力では、持ち上げられる重さもたかが知れています。重いものを持ち上げるのは、相手の力を利用して投げるといった話とは違うわけです。

「必要以上の筋力は要らない」と言えばそうなのですが、予備能力の観点から考えると、必要以上を定義するのは難しいと思います。廃用の影響のみならず生理的老化は避けられませんから、必要最低限だと病気や怪我などによって活動量が落ちれば、たちまち様々な体力要素は不足に陥りやすいと考えられます。

そう考えると、筋力はあるに越したことないわけですが、一定以上に筋力を向上させる為には相応の時間と労力が必要です。トレーニングの時間を確保する為の調整(何かを減らしたり止めたり代替する等)や、トレーニングによる疲労の影響などの考慮が必要になります。ですから結局は個別性を考慮するという原則は無視出来ません。

また、「脱力することが大切」「ゆるむことが大切」というフレーズも一時期よく見かけましたが、それを、「必要なタイミングで必要な分だけ筋力を発揮する、つまり筋出力を適宜適切に調整する」ことが大切だと解釈すれば、全て包括しているわけではないにしても、わかりやすいかなと思います。

疾患など特定の条件でない限り、完全に脱力することはないですし、何の為に「脱力することが大切」「ゆるむことが大切」なのかという部分が抜け落ちたまま、正しいとか間違っているなどと展開することは出来ません。

「筋力VS身体の使い方」といった、本来比べようのないものを比べるというのはよくあることです。「クイックリフトVSスロートレーニング」といったものもありましたね。患者さんやクライアントさんを対象に考えた時には、ナンセンスな構図ですね。商売の為にインパクトを持たせるのなら、そういった打ち出し方もあるかも知れませんが、臨床では手段自体が目的とはなりません。

数ある手段のそれぞれの良し悪しというよりも、それぞれの特徴を捉えておけば目的に合わせて活かすことも出来ると思います。具体的なケースを想定しないまま、「◯◯より△△が優れている」といった話はあまり発展性があるとは思えません。特徴を捉えるためには基礎となる知識が必要となりますから、やはりよく言われる運動学、解剖学、生理学、神経科学といった知識を確認しておくことが不可欠だと思います。

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